旅行するとき、2種類の人がいると思う。
・日常を旅行先にまで拡張することを楽しむ人
・日常が通用しない旅行先でのいろいろな違いを楽しむ人
んで、日常のローカルルールというのは色々とあると思います。ぱっと思い浮かんだのが名古屋走り。
名古屋が特に轟いてるだけで、どこの地方も不思議な道路交通法のショートカットってありますよね。広島も信号の黄色は飛ばす人多いですし。赤でもたまに突っ込んでくる人いますしね。おとなり岡山はウィンかーを点灯せずに車線変更する方がなかなか多い印象ですし、そういうのも含めてお国柄というものなのだと思います。
ああいうのに遭遇したときに
「こういう土地だからしょうがないね」って鷹揚に受け容れられるか、
「ふざくんな交通ルールって言うか法規を守れ」ってピリピリするか。
たぶん前者の方が快適な旅行が出来ると思うのです。
正しさ、という面でいったら後者のほうが正しいと思います。
けど正しさを貫き通して事故ったらそっちの方がむなしいじゃないですか。
たぶん土着の人たちは交通ルールや交通法規をちゃんと理解したうえで、
「けどこれで上手く回ってるんだからそれでいいじゃん」みたいな感覚で居るでしょうから、多勢に無勢、抵抗しても無駄だと思います。
ローカルじゃないけど道路でよく言う「クルマの流れ」とかいうプレッシャーみたいなものですね。法廷速度守ってるだけなのに何故かすごい肩身の狭い思いをするアレ。
変に突っ張ってもああいう状況に落ち込んでしまうことになるんじゃないでしょうか。
それに多かれ少なかれ、無意識のうちにやらかしてるルールからの逸脱ってあるので、
「俺はぜったいに正しい!!」
って思いながら動いてても実は、それも俺さんの地元でのみ通用するローカルルールだった、という可能性も捨てきれないわけです。
自信満々で指弾したけど、実はそれは別に国の法律に基づいた義憤ではなかったよ、ってなったらカッコワルイですよね。
それよりなにより、意見をぶつけ合って相手を屈服させて言うこと聞かせようとする労力が、旅行の楽しみを大きく殺いでしまう気がします。
相手にいうことを聞かせられなかったりしたら不快感やストレスもぐぐっと騰がっちゃいますし。
ですので、
「ここに住む人たちはこういう風にルールを逸脱しているんだな」
「さて、振り返って自分たちはどういう風にルールを逸脱してるんだろう?」
「自分たちのルールの端折り方とはやり方が違うのだなぁ」
って観察する気持ちでいた方が心穏やかに旅行が出来ると思います。
こういうことを思いついたのは、エスカレーターの左側にみんな寄っているなか、一人毅然と前をきりっと向いて右側に陣取っているおじさんを見たからです。
そもそも「エスカレーター片側空け」というのがいろいろ間違ってるらしいけど、そういえばエスカレーターも地方ごとに左右どっちをあけるかで違いがあるんだよな、とぼんやり思いながら眺めてました。
みんなそもそも間違ってるのに
「俺は右で暮らしてきた、だから右による」
「この地方では左なのに、何で左に合わせないの?」
みたいな微妙な空気のつばぜり合い。不毛だけど、ちょっと面白いです。
エスカレーターならちょっと不穏な空気になったり、後ろからエスカレーターを駆け上がるマン(そもそもコイツが間違っている)が露骨に顔をしかめたりするだけで済むけど、クルマだとシャレにならないことにもなりかねないんですし、意地を張らないでちがう日常を楽しむくらいの気構えで入るのがいいよな、と思った次第。
日ごろ慣れ親しんだルールが通用しないことに面食らったとしても、乱されずに過ごせるような広い心を持ちたいもの。
イラッとしても、表面上は何事もなかったように過ごせるくらいにはなりたいです。