人間だもの。我慢には限界がある。
老舗サイトゆえところどころリンク切れになっている哀しみはあるけれども、ソ連けっこうやるな、って思ってた。しかし最近読んだWeb小説で、「けっこうやるな」どころじゃないやん、って認識をあらためた。
ソ連の宇宙技術は最強過ぎたのだが、それを西側諸国が完全に理解したのはつい最近だった - ラヴェル船長の受難とソビエト及びロシアだけが保有する衛生管理技術
脚色入ってるけど、先のサイトではちょろっと触れられてたジム・ラヴェル視点から見たときの米ソの差が面白い。
ってかアメリカさんもかなり無茶をやっている。
「ドラゴンフライ」では、ロシア人が定期的に指の爪の間に針を刺して採血して
「健康チェック」
と称しているのをアメリカ人がボロクソに貶して文句言ってるのを読んだ覚えがあるが、アメリカ人のほうも人のこと言えない不合理だよねって。
アレかな?
- 作者: ブライアンバロウ,寺門和夫,Bryan Burrough,北村道雄
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2000/05
- メディア: 単行本
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※ガチで面白いです。船外作業中にケンカした米ロの宇宙飛行士の話もいいけど、宇宙飛行士選抜においてで皇帝のように振舞うアビー
に振り回される飛行士候補達のエピソードが秀逸。アビー・ゴールディン体制とかいう専制の告発感がステキ。
同じ目的を達するために、切り捨ててよい要素はなにか。
ところ変わればこれほど変わってしまう、というのは面白い。
ラヴェル船長の突き上げもあってようやく・・・という感じのアメリカントイレ
(しかも頑張ったけどロシヤ人にはちょっと追いつけなかった)
一方ロシヤ人は最初からそれは必要やんか、って装備してたというね。
宇宙船に積み込むものはギリギリまで削らなくてはいけないので、普通の感覚だと「それは必要やろ?っ」て部分でも平気で切り捨てるけど、その
ギリギリを超えて捨てるもの
の取捨選択にお互いの違いが如実に現れるのは面白いと思う。
ロシヤ人もトイレ(かなり巧妙な奴)は積んでたけど、一方で
「アメリカ船にはあるけど、ロシア船にはない」
という要素もあるわけで、たとえばフネの操縦に関してはロシアは
「全自動化されてるんだし、人間の介入は邪魔」
「じゃけん余計な操作機器は載せないでおこうね、重量ムダになるし」
とばかりに削られていて、アメリカ人の感覚から言ったらシンプルすぎてありえないものになってるわけで。
思想の差ってこういうところに現れるんだな、と実感しました。
ミール乗ったアメリカ人もロシア人も、お互い理解するのに苦労しただろうな。
ISSも基幹部分(船体制御そのほか)にはロシアの技術をけっこう大胆に取り入れてるみたいだけど、ロシア語で考えて英語のやり方にすり合わせるのにどんな苦労したのか(現に苦労しているのか)、ってのも読んでみたいですね。
あるいは、日本がもし万が一有人宇宙開発に乗り出すとして(ないだろうけど)
日本人が宇宙船から削るもの
はいったいなんだろう、というのを考えるのも面白そうです。