どういう風に分ければいいんだろう。
どっちも幻想的なお話、という風に大雑把に考えていたけど厳密な区分があるはず。
以前も書いた気がするが、その後きちんと調べていない。
引っかかった後、それをきちんと掘るか否かで人間の出来に差が出るんだろうと思う。
吾は出来の悪い方です。
これはファンタジーなのか、メルヒェンなのか、しばらく悩んだ。
なかでも「とにかく日本大逆転」的な素朴な味わいのやつに似てる。
御都合主義が過ぎるというのも大きいんだけど、そういう読後感になるっていうことは、すでに自分の中で「没落していく日本」という視点はかなり確立してるんだな、っていうのに気づかされた。
大いにボロ負けた後、歴史を重ねた後の世代から見た「日本大逆転」ファンタジーの消費の仕方と、
まだ見ぬ未来のはずなのに、「日本再生」ファンタジーを消費する仕方が吾の中では一緒。
終わってしまった後、
「ああすればよかったなぁ」
(もっとも、そうしたところで確実にうまくいくという保証もないのだが)
っていうやるせなさを覚えながらお話を消費してしまうあの感じ。
架空戦記なんかの場合はまったくの絵空事なので読みながら都合のいい展開があってのめりこんでいても、読後
「けどリアルではバァシー海峡(@山本七平)やらかしてるしな」
って我に返ってむなしさが募る感じが襲ってくる。
それと同じ感触が、この本を読んだ後に感じられた。
これから来るであろう近い将来の「バァシー海峡」はなんだろうな。
回避できる気がしないよ。
ちょっと長生きして、2050年まで生きられたとして。
その時にもう一度この本を読んだときに吾はいったい何を思うのだろうか。
出来れば多少はこの本の予想が当たっていればいいな、とは思う。
・・・余談ながら、作者のメンタルが実にマッチョポジティブで読み進むのが時々つっかえた。
なんだろ、御都合主義であることへの後ろめたさがまったく感じられないの。
この辺の無邪気さはやっぱボロ負けたことのない国の人のメンタルなのかな、ってちょっとズレたことを考えたりした。
バカになれ。
そんな一言で前向きになれる気分の夜にお奨めの一冊です。