afurikamaimaiのブログ

この道は行き止まりだ。引き返せないよ。

century color,million color

主題歌変わるタイミングがちょっとおかしくないか、と思っていたが・・・そういう事情があったのですね。

 

西城秀樹の訃報が流れた後、これがホッテントリに入っていた。

togetter.com

 

気になったのでググッた。

絶版だった。

中古で倍ぐらいになってた。

[rakuten:comicset:11152156:detail]

 

 

けど地元の図書館に収蔵してた。ここどういうチョイスしてるのか分からんな。

ので借りて読んでみた。

 

・・・相変わらずトミノ文は読み難い。

そういえば最後まで読み切ったのは「閃光のハサウェイ」だけだったなぁ、などと思い出す。とはいえ、今回は富野と西城のエピソードが読めればいいや、という目的もあるのでその辺はガマンできた。

∀、放映当時は見てなかったから、その頃の人気の推移とか正直よく分からないんですよね。劇場盤見てから原作も見た、というレベルなので、ガノタからすると読みが浅い、ってなるかもしれないけど、ひとまずメモ。

 

∀ガンダムの製作に入る前~製作終了直後、くらいの回想録で、西城秀樹以外にもいろんな職業人との出会いとか、軋轢とか葛藤とか書かれています。上記のまとめでは西城の「いい人」エピソードだけ抜粋されてるけれども、それ以前に富野の持っていた偏見とかコンプレックスとか、そういう下敷きがあってこそ、輝いてくるエピソードだなぁ、と感じました。あんだけ色々おおきな仕事してても、根っこの卑屈さは抜きがたいものがあるんだな、という驚き。

あと、富野と富野父の関係性がだいぶアムロ父子のそれに近いんだなぁ、って思いながら読み進めてたら、後書きでがらっと変わっててちょっと拍子抜け。

ただ、こうした心情の変化を素直に認められるのもまた強さだよな、と思ったり。

そして、富野視点から見たときに、∀の仕事は、ほとんどこだわりを捨てることが全てだったんじゃないかな、って感想を持ちました。

まあ当たってるかどうかは自信がない。

つか富野の書いてることがあっちこっちとぶんだ。

最終的には一つ、結論らしきものには辿り着いてるけど、振り回されて目が回ってる状態なので、自分が富野が連れて来たかった場所に辿り着いてるのかどうか、自信がない。

ただ、全否定するが全肯定する、という∀のテーマを得たことで、富野がふたたび活力を得ているのは伝わってきた。

製作前の陰々滅々たる雰囲気と、不評がありながらも自分自身は手ごたえを感じているところ、とくに最終回直前のコンテを見直すところとか見ると、製作するごとに気力が上がってるのが窺えるような回想になってます。

∀を放映当時から追っていた人なら、きっともっと色んなことが読み取れたんじゃないかと思うと、リアルタイムで見ていなかったのはちょっと後悔。

ただ、あちこちに今でも通用するネタが転がっていて、読んでよかったのは間違いない。中でも作中で富野が孫引きしていた永野治の言葉は、今こそ重い、と感じる。

 

技術は行動であるから、その結果するものについては責任を問われる。技術者は技術自体の持つ論理性だけでなく、文明の担い手としての正負の効果についての見識を持たねばならない。

           日本機械学会誌 昭和57年1月号

        ジェットエンジンに取り憑かれた男」前間孝則著 p660 より

 

から続く言葉は、以前にも増して技術革新の無謬性が大きく喧伝される現状においては忘れてはならない話だと思います。ガジェットなりサービスなり思いついたらそれとりあえず作ってみて、不具合が出たら直せばいいじゃん、先行者利得こそ正義、みたいな態度ってそろそろ不見識だよね、と。慎重に先を見通すってのも大事になるよね、と。

 

あと多分。富野本人の力点を置いた意図とは違うのかもしれないけど、同時にこんな本も借りて読んでたので

 

人間関係は上下関係ではなく、水平の関係でないと上手く動かない、みたいな具体例として∀の製作現場が(富野視点から見て)少しずつまとまりができていく課程が面白いな、と感じました。

 

どちらもお薦めですが、「ターンエーの癒し」の方は絶版なのね。もったいない。

「お前が買わなかったからだ」って富野には叱られそうだけども、再販されたら買うぞ。