ね。
しばらく積んでおいて後悔する羽目になるの。
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なんだよ面白いじゃん。
エミール・クストリッツァ監督最新作!『オン・ザ・ミルキー・ロード』予告
Q.なんで公開前に、せめて公開中にでも読んでおかなかったんだよ・・・?
A.「すごくヤなこと」の展開が唐突過ぎてちょっとついていけなかったからです。
そうなんだよ。
唐突なんだよこの監督。
アンダーグラウンドもオチちょっと繋がらなかったからね。
「えっ?」てなった。
後から説明されて「ほほぅ」ってちょっと納得したけど。
映画だとスパッと切り替わっても「そういうもんだ」ってアタマの方が無理やり映像についていこうとするけど、文章だとちょっとブレーキがかかる。
「おや、俺はページを読み飛ばしたかな?」
ってなる。
※この先ちょっとネタバレします。
これぜったい「蛇に抱かれて」を冒頭にもってきておいた方が良かった。
これは話の筋も、場面展開もけっこうちゃんとつながっててアタマのなかで映像組み立てられた。
それなら劇場公開間に合ったのに!(後悔役立たず
展開の唐突さはあるけれども、これ読みきれたのはアレクサ少年の魅力が大きいと思う。両親や年の離れた従兄、悪友との会話のリズムがとてもいい。
回想で語られる場面の会話なんかも好き。
例えば、デートの席でこんなことがあった。
僕がただぼんやりと、低く唸ったり、時々唾を吐いたりなんかしていると、女の子が言い出したのだ。
「ちょっとぉ! 何か喋ってよ!」
「何かって?」
「何か素敵なこと!」
「素敵なことって何?」
「だからぁ、例えば、ほら、『愛してる』とか?」
「なんでそんな嘘つかなきゃいけないんだよ!?」
P.196 「夫婦の中のよそもの」
これだけだと、たいしたことじゃないように思われるかもしれませんが、この短編集の中でアレクサ少年の物語は連作短編という格好になっていて、この会話が飛び出すまでに積み上げられた、めんどくさくてお馬鹿で、それでいてなんか理屈っぽいというかわいらしいアレクサ少年のイメージのおかげで、すごく面白い。
時系列で言うと
「おへそ、魂の門」
「オリンピック・チャンピオン」
がほぼ近しい時期?
でそれからやや時間がたって
「わかるだろ、実際!」
の後に
「夫婦の中のよそもの」
という進行。
一番かわいい時期は「おへそ、魂の門」かな?
この時期がいちばん好みです。
ラストの「夫婦の中のよそもの」は悪友とつるんでの「旅行」のシーンが
それまでの牧歌的な光景(といっても、けっこう過激なところもある)と好対照。
ただこの短編読むころにはアレクサ少年にだいぶ感情移入してたんで、ラストきつかった。親の不倫をハッキリバッチリ目撃するってねぇ。
そこを乗り越えたのはえらいけども。
このみで言えば、入院中にヨソモノケッコンの遺灰棄てて湮滅を図ろうとしたけど・・・ってところでフェイドアウトして終わった方が余韻が残った感じがしていいかなって。
もう父親の不倫はほぼほぼ確定してるわけだから、おもいっきし重傷負ったあとにダメージ重ね掛け、はやりすぎやろ? って。
二つの秘密を同時に抱え込むというのは印象深いけども、ね。
いずれアレクサ少年、というかカレム一家の物語も映画化するんじゃないかしらん。
そしたらぜひ見てみたいですね。
理屈っぽいけど、どこかバカっぽい、勢いのある子供が好きな方にはお奨めです!