言葉で人を殺せる。
マジで。
いやだなー、ホントいやだなー、ってずっと思ってたの。
けど読むのね。
で読んだ後「あああああああ」ってなる。
だけどまた読む。
また読んで「ああああああああああ」ってなる。
これは病気かもしれない。
キライなん(・・・だと思う)だから、読まなきゃいいだけなのに、引っ張られる。
不思議!
短編集。
買ってすぐ読んでた。
けど上記の通り「ああああああああ」ってなって最後まで読めずにいたのをようやく読んだ。
ちょっと後悔してる。
なんでこういちいち絶妙なのかなって。
すごい引っかかって「あった、こういうことあったよ!!」ってココロのかさぶた剥がされるの。
マジ最悪。
いいか、お前のことを書いてるんじゃないぞ、って言い聞かせながら読んでも
「そう、そうなんだよ!」
ってなる。これは読む側の姿勢におおいに問題があるんだろうが、それでも言いたい。
とにかく引っかくように書きすぎ。
青春時代にあんまブライトサイド歩いてなかった 、けど一瞬だけブライトサイドに立たなかったわけでもない、そういう中途半端な人はけっこうダメージ受けるんじゃないかな。
めでたし、めでたくもなし、な展開なのにただ辛い。
「うん、そうだったよ・・・」ってなるオチの多さ。
あのさぁ!
フィクションなんだからさぁ!
そこはちょっと救いを入れてやろうよ!
っていう反感も湧くけど、この「あったよなぁ・・・」っていう読後感は、その救いのなさ(というにはなだらかに過ぎる話の流れ)あってこそでもある。
ココロが弱ってる時に読むもんではない。
ものすっごく良く出来てるけど。
中途半端なモヤモヤさを奇麗に言葉にまとめてくれるおかげで、過去の思い出の細部が生き生きとよみがえるという副作用が最悪。
この短編集の中では、抱えてたもやっとしたものを次々と言語化しててホントにイヤ。
「こういうシチュエーションで違和感を覚えるのはダメなんだろうな」
「この状況になんかしっくりこないけど、それは表明するまでもないことなんで抑えとこ」
という、本人が「これは意識して抑えてる感覚だ」ということにすら無自覚である感情をピンズドで表現するのがとても卑怯。
卑怯だけど上手い。この不意打ちのせいで
「アレってそうなんだ」みたいな思い出がよみがえってのた打ち回りたくなる。
どれとは言いませんが。
けど、本当に面白いです。
おおむね灰色だったけど、いっしゅんだけフラッシュたかれた青春持ってる人にお奨めしたい。
晴れ舞台に立った後の清々しい思い出が残ってる人にはお奨めしません。
ただ、(主観的に)主役になってはみたものの「なんか思ってたのとちがう・・・」って感じたことがあるオッさんなら、収録作のどれかは刺さると思う。