既にネタ晴らししてるので興醒めもいいところ。
とはいえ、これはダメな奴なんだな、という気付きもあったのでメモ。
この釣り増田そのものではなくて、釣りを試みるいくつもの長文に言えることだけども、設定が盛りすぎなのと、その盛った設定に釣り合うだけの熱量で(釣りの中で)disりたい標的が書かれていないのが致命的だと思う。
うまい釣りはその辺の塩梅が絶妙である。
設定をモリモリにし過ぎると「こんな奴いるわけねー」と初手で見抜かれるし、*1それに絡んで撃退される奴の描写もあっさり過ぎると意図が見抜かれる。
「こいつ殺されるために出したな?」ってバレバレの三下みたいなノリで告ってきた相手のことを書いてしまうのは、1対1のスカッと話で釣りたい時にはそぐわない。
憎たらしいというか、身の程をしれ、という怒りを持っている対象だと読者にもその気持ちを共有してもらうには、相応の文量を割かなければいけない。
あまりにさらっと定型的に描写されてしまうと
「こいつを下げたい、disりたいだけなんだな」
って意図が明白すぎて面白くない。
死ぬっつー設定で出したやつが死にました、ではドラマがなさすぎ。
このドラマの無さが釣りの独特の空気だと思ってる。
あと縦読みは環境次第では表示が崩れてしまうのでそれも要注意。
俺は気付かなかった。
なんにせよ、ちょっと面白かったです。
設定にかける文の量と、そんなマシマシな私に対する派遣くんの描写のあっさり加減とか。前々から妙な粉をかけてきてたんだ、というエピソードの淡白さとか。この辺をもっと仕込んでおけば「私」の受けた衝撃を読者と分かち合うこともできたのではないだろうか。
あと最後にとってつけたように出てきた婚約者ね。
これで釣りだって分かるでしょ、というシグナルにしたつもりなのかもしれないけれども。
それよりはむしろ
「ダレたからここで投げたんだな」
って印象を持ちました。
人の書く創作って粗がすごく良く分かるから面白い。
いつものことながら、自分を棚に上げて云々するのって本当に最高ですね。
これを他山の石として自分でももうちょっとこなれた創作が出来るようになるといいのだけど。
・・・たぶん実際にやってみると似たり寄ったりになるんだよな。
気力がたいして持たない分、オチのズルズル感は増田よりひどいものになるかも。
*1:ちなみに、ここで「釣り乙」みたいな反応を貰った時に「本当に居るんですー」って強弁しすぎると泥沼に嵌まるので釣り師は気をつけよう。ネオ赤坂まるごとボーイみたいになる。