あんま面白くなかったよ。
古いからだろうね。
あと自分が明らかにこの本の想定読者からは外されてる感が伝わってくる。
ここで語られてる「病的に自分が好きなひと」自己愛過剰。めちゃくちゃ自分やんけ!
ってなったし。
そういう人にふりまわされてる気の毒なあなたのための処方箋、という体なので、ふりまわしてる側に近いであろう自分には響かなかったな!
それはそれで棚上げして疑問なんだけども。
この本の「新型うつ」の解説、大丈夫ですか?
そろそろ10年前の本だから、認識が古いのは不可避なのかもしれないけど、
「新型うつ=甘えなので」
「おまえら周りで困ってる人はそうは見えないだろうけど、本人はめちゃくちゃ苦痛だから仕方ないと思え」
「今までの従来うつは責任感の強い奴が自分で自分を追い込んでなったパティーン」
「新型うつは自分の思い通りにならないリアルとの折り合いがつけられずに病むパティーン」
これってさ、合ってるの?
新型うつという奴は詳しく知らない。ただこの手の言説で
「遊びに行くのはできるのに、仕事は出れない腐ったうつ」
みたいなことを言ってた2ch(5ch)や、その他の匿名交流サイトでけっこう炎上してた記憶がある。
そして、今時はこういう風な認識でいるとヤバいみたいな雰囲気が醸成されてるように感じられる(吾の周りでは)。
なので、「え、いいのかこれ?」ってかなり著者の見識が不安になったけど、2012年ごろはこういう認識の方が普通だったのかしらん。
メンタルヘルス周りはいろんな言説が流行って廃ってぶつかり合って目まぐるしく変転するので、あまり迂闊に触れることはしない方がいいと分かってるんだけども。
自分の知ってる(つもりだった)「(それでも動けない)新型うつ」の辛さみたいなのとは認識がだいぶ違ってて戸惑いました。
遊びはOK,仕事はダメってのはそもそもうつ患ってる本人が選択したわけではなくて、なんか肉体的な変調でそうなってしまってる(ので、家族と居るのはクソ苦痛、仕事してるほうが幸せというのが行き過ぎた奴も「新型うつ」の惧れ、みたいなのを読んだおぼろげな記憶)。だから傍目で思うほどお気楽ずる休みなうつじゃないんだよって認識してました。
この辺はまた気が向いたらもうちょっと新しめの、新型うつ概説の本でも読んだ方がいいのかもしれません。
本筋にもどって。
自己愛過剰の問題。
大体いっぱい自己愛過剰だよ、って2012の段階で指摘されてて、それはさらに悪化してる感がある。
それでも人は繋がらなきゃいけないんだ、社会参加を通じて自己愛の充足を目指さなきゃいけないんだ、てのが本書の主張(じゃないと殺風景な社会になるよ、と)。
うん。
言うことは分かる。
けど殺風景でいいんじゃないかなって吾なんかは思う。
自己愛過剰と付き合う方法=距離をおく。
という処方箋を示してるんだから、それでいいじゃない、って思うのよね。
自己愛過剰を抱えた人の病を癒すのは、どうやら今のネッツ全盛な社会では難しいようだし。
それでもなお、俺は自己愛過剰の輩を包摂する!
って構えからなら、「人は繋がらなきゃいけない」という言葉は傾聴に値すると思う。
しかし。
俺は自己愛過剰の輩とは距離を置きたい。
だけども、自己愛過剰の輩が孤立するのは世の中の負担が大きい。
よって、「俺の所属しないどこかの共同体・社会」が自己愛過剰の輩の社会参加を受容せよ。
俺んところに面倒もってくんな。
ってんならそれは、形を変えたもっとも醜悪な「自己愛過剰」じゃないかなって思った次第です。
・・・この辺は完全に下衆の勘繰り、偏見だけどね。
なにはともあれ、中庸が一番大事で、睡運瞑菜こそが人生の王道というのは本書でもまた実証されたよな・・・と感じました。
バランスのいい食事と運動、睡眠をとることで精神の安定を取り戻しましょう。