たぶん、消せ! とかって騒動する人も居ないと思うけどね。為念。
きっと杞憂だけど、あちこちに置いておけば目につくことも増えるだろうし。
さておき、文字起こし。
動画の人に怒られたら消す。
聞き間違いとかあると思う。
喋りをつなぐ「あの」「その」といった語は削っているが、文意はそのままにできていると思う。
その辺踏まえたうえでお読みください。
※02/19/12:15「研究所」としていた部分、他の文字起こしを参考に「検疫所」と修正しております。
※追記※
以下の文字起こしよりずっと良い(用語解説付き、ありがたい!)文字起こしがあります。
動画とこれ押さえとけいいと思う。
02/19/18:40 noteにも書き起こし来てた。
読みやすくはあるけど、強調が記事作成者の手によるもののため、そこは注意したほうが良いかと思います。増田と読み比べると良いかと。
時間のある人は動画見るのがいちばんっすね、やはり。
ここから下は、動画以外どうでもいいものです。
※追記おわり※
岩田健太郎です。
神戸大学病院感染症内科教授をしていますけれども、今からお話しする内容は神戸大学など所属する機関とはいっさい関係なく、私個人の見解です。あらかじめ申し上げておきます。
今日、2月の18日に、プリンセスダイヤモンドに入ったんですけど一日で追い出されてしまいました。
なぜそういうことが起きたのかについて簡単にお話ししようと思います。
もともとそのプリンセスダイヤモンドはすごくCOVID-19の感染症がどんどん増えていくということで、感染対策がすごくうまくいってないんじゃないかという懸念がありました。
で、環境感染学会が入り、FETPが入り、行ったんですけど、まあ、あっという間に出ていってしまって、で、中がどうなっているのかよく分からないと、いう状態でした。
で、中の方からいくつかメッセージを頂いて、すごく怖いと、感染が広がっているんじゃないかということで私に助けを求めてきたので、色んな筋を通じて、なんとか入れないかというふうに打診してたんですね。
そしたら昨日、2月の17日に厚労省で働いている某氏から電話が来て「入ってもいいよ」と。
で、やり方を考えましょう、ということでした。
最初、「環境感染学会の人として入る」という話だったんですけれども、「環境感染学会はもう中に人を入れない」という決まりを作ったので、岩田一人を例外にできないということでお断りをされて
けっきょく、DMATですね、災害対策のDMATのメンバーとして入ってはどうか? というご提案を厚労省の方からいただいたので、「わかりました」ということで、18日の朝に新神戸から新横浜に向かったんです。
そしたら途中で電話がかかってきて、「誰とは言えないけど非常に反対している人がいる」と。で「入ってもらっては困る」と。
いうことで、「DMATのメンバーで入る」という話は立ち消えになりそうになりまして、すごく困ったんですけど、「なんとか方法を考える」ということでしばらく新横浜で待っていたら、またもう一回電話がかかってきて
「DMATの職員の下で、感染対策の専門家ではなくて、DMATの一員として、DMATの仕事をただやるだけ」だったら入れてあげる、という非常に奇妙な電話をいただきました。
なぜそういう結論に出たのか分からないですけど、とにかく言うことを聞いてDMATの中で仕事をしていて、だんだんその顔が割れてきたら感染のこともできるかもしれないから、それでやってもらえないかという依頼を、非常に奇妙な依頼を受けたんですけど、他に入る方法はないものですから、「分かりました」と言って現場に行きました。
そしてダイヤモンドプリンセスに入ったわけです。
入ってご挨拶をして、で、最初は「この人の下につけ」と言われた方にずっと従っているのかなぁ、と思ったらDMATのチーフのドクターとお話をして、そうすると
「お前にDMATの仕事は何も期待してない、どうせ専門じゃないし」ということで
「お前感染の仕事だろう、だったら感染の仕事やるべきだ」というふうに助言をいただきました。
これDMATのトップの方ですね、現場のトップの方。
「アそうなんですか」という。私はとにかく言うことを聞く、というふうに約束していましたので、感染のことをやれ、と言われた以上はやりましょう、ということで、現場のその案内をしていただきながら、いろんな問題点っていうのを確認していったわけです。
それはもうひどいものでした。
あのー、もうこの仕事20年以上やっててですね、アフリカのエボラとか、中国のSARSとか、いろんな感染症と立ち向かってきました。
で、もちろん身の危険を感じることは多々あったんですけど、「自分が感染症に罹る」恐怖っていうのは、そんなに感じたことはないです。
どうしてかっていうと、僕はプロなので、自分がエボラに罹らないように、自分がSARSに罹らない方法っていうのは知ってるわけです。
あるいは他の人をエボラにしない、他の人をSARSにしない方法とか、その施設の中でどういうふうにすれば感染がさらに広がらないか、ということを熟知しているからです。
それが分かっているから、ど真ん中に居ても怖くない。
アフリカに居ても中国に居ても怖くなかったわけですが、ダイヤモンドプリンセスの中はものすごい悲惨な状態で、心の底から「怖い」と思いました。
これはもう、COVID-19、感染してもしょうがないんじゃないかと、本気で思いました。
レッドゾーンとグリーンゾーンというんですけど、ウィルスが全くない、安全なゾーンと、ウィルスがいるかもしれない危ないゾーン、というのをきちっと分けて、そしてレッドゾーンでは完全にPPEという、防護服をつけ、グリーンゾーンでは何もしなくていい、とこういうふうにきちっと区別することによって、ウィルスから身を守るというのは我々の世界の、鉄則なんです。
ところがプリンセス、ダイヤモンドプリンセスの中はですね、グリーンもレッドもぐちゃぐちゃになってて、どこが危なくてどこが危なくないのか全く区別がつか…どこにウィルスが…、ウィルスって目に見えないですから、完全な、そういう区分けをすることではじめて自分の身を守るんですけど、もう、どこの手摺とどこの絨毯、どこにウィルスがいるのかさっぱりわからない状態で、いろんな人がこう、アドホックにPPEを着けてみたり手袋をはめてみたり、マスクを着けてみたりつけなかったりするわけです。
で、クルーの方もN95を着けてみたりつけなかったり、あるいは、熱のある方がですね、自分の部屋から出て歩いて行って医務室に行ったりする、っていうのが、通常でおこなわれていると、いうことです。
私が聞いた限りでは、DMATの職員、それから厚労省の方、検疫官の方が、PCR陽性になったという話は聞いてたんですけど、それはもう、むべなるかなと思いました。
中の方に聞いたら
「いやー我々もうこれ、「自分たちも感染するな」と思ってますよ」というふうに言われて、びっくりしたわけです。
どうしてかと言うと、我々がこういう感染症のミッションに出るときは、必ず自分たち「医療従事者の身を守る」てのが大前提で、自分たちの感染のリスクをほったらかしにして患者さんとかですね、一般の方々に立ち向かうてのは、ご法度、これもう、ルール違反なわけです。
環境感染学会やFETPが入って数日で出て行った、っていう話を聞いたときに「どうしてだろう?」と思ったんですけど、中の方は
「自分たちが感染するのが怖かったんじゃない?」というふうにおっしゃってた人も居たんですが、それは気持ちはよく分かります。
なぜなら、感染症のプロだったらあんな環境に居たら、ものすごく怖くてしょうがないからです。
で、僕も怖かったです。もうこれは感染…今これ某、ちょっと言えない部屋に居ますけど、自分自身も隔離して診療も休んで、家族とも会わずにいないとやばいんじゃないか、と個人的にはすごく思っています。
今私がCOVID、ウィルスの感染を起こしても全く不思議はない、どんなにそのPPEとかですね、手袋とかあってもですね、その安全と安全じゃないところっていうのをちゃんと区別できてないと、そんなものは何の役にも立たないんですね。
レッドゾーンでだけPPPを、PPEをきちっとつけてする、安全に脱ぐ、っていうことを遵守してはじめて、自らの安全が守れる、自らの安全が保証できないときに、他の方の安全は守れない、もう、あの…
今日は藤田医科大学に人を送ったり、搬送したりするってんで皆さんすごく忙しくしてたんですけど、そうするとこう、検疫所の方と一緒に歩いてて、ヒュッと患者さんとすれ違ったりしたんです。
「あっ、いま患者さんとすれ違っちゃう」と、笑顔で検疫所の職員が言ってるわけですね。
この…我々的には超・非常識なことを平気で皆さんやってて、で、みんなそれについて何も思っていない、と。
で、聞いたらその、そもそも常駐してるプロの感染対策の専門家が一人もいない、時々いらっしゃる方は居るんですけど、彼らも結局「やばいな」と思ってるんだけど何も進言できない、進言しても聞いてもらえない。
やってるのは厚労省の官僚たちで、で私も厚労省のトップの人と相談しまして、話しましたけど、ものすごく嫌な顔をされて聞く耳持つ気ないと。
で、「なんでお前がこんなところに居るんだ、なんでお前がそんなこと言うんだ」みたいな感じで、知らん顔すると、いうことです。
非常に冷たい態度とられました。
DMATの方にも、そのようなことで、「夕方のカンファレンスでなにか提言申し上げてもよろしいですか?」と聞いて「まあいいですよ」という話をしてたんですけど、突如として夕方5時ぐらいに電話がかかってきて、「お前は出ていきなさい」と。
検疫の許可は与えない、まあ臨時の検疫官として入ってたんですけど、その許可を取り消す、ということで資格を取られて、検疫所の方に連れられて、当初電話をくれた、厚労省に居る人に会って
「なんでDMATの下で、DMATの仕事しなかったの」と、「感染管理の仕事はするなと言ったじゃないか」と言われました。
でも、そのDMATの方にそもそも「感染管理してくれ」って言われたんですよ、って話したんですけど、とにかく、「岩田に対してすごいムカついた人がいる」と、「誰とは言えないけどムカついた」と。だからもうお前はもう出ていくしかないんだ、って話をしました。
「でも僕が居なかったら、居なくなったら、こんど感染対策するプロが一人も居なくなっちゃいますよ」って話をしたんですけど
「それ構わないんですか?」っても聞いたんですけど、それから「このままだともう、もっと何百人という感染者が起きて、DMATの方も…、
DMATの方を責める気はさらさらなくて、あの方々は全く感染のプロではないですから。
どうも、環境感染学会の方が入った時にいろいろ言われて、DMATの方、感染のプロたちにすごく嫌な思いしたらしいんですね。
それはまあ、申し訳ないな、と思うんですけれども、別に彼らが悪いって全然思わない。専門領域が違いますから。
しかしながら、彼らが実は恐ろしい…、そのリスクの状態に居るわけで、自分たちが感染するという。
それを防ぐこともできるわけで、方法もちゃんとありますから。
ところがその方法すら知らされずに、自分たちをリスク下においていると。
そして、そのチャンスを奪い取ってしまうという状態です。
で、彼らは医療従事者ですから、帰ると自分たちの病院で仕事するわけで、今度はそっからまた院内感染が広がってしまいかねない。
で…これはもう大変なことで、アフリカや中国なんかに比べてもぜんぜん、ひどい感染対策をしている、シエラレオネなんかの方がよっぽどマシでした。
日本にCDCがないといえ、まさかここまで酷いとは思ってなくて、もうちょっとちゃんと専門家が入って専門家が責任をとって、リーダーシップをとって、ちゃんと感染対策についてのルールを決めてやってるんだろう、と思ったんですけど、まったくそんなことはないわけです。
とんでもないことなわけです。
これ英語でも収録、まあ拙い英語で収録させていただきましたけど、とにかく多くの方にこの、ダイヤモンドプリンセスで起きている事っていうのをちゃんと知っていただきたいと思います。
で、できるならば学術界とかですね、あるいは国際的な団体はですね、日本に変わるように促していただきたいと思う。
彼らは残念ながら…(途中編集アリ)…編集が下手でちょっと変なつながりになったと思いますけれども、考えてみると03年のSARSの時に、僕も北京に行ってすごい大変だったんですけど、特に大変だったのはやっぱり、中国が情報公開をじゅうぶんしてくれなかった、ていうのがすごく辛くて、何が起きてるのかよく分からないと、北京に居て本当に怖かったです。
でも、その時ですら、もうちょっときちっと情報は入ってきたし、少なくとも対策の仕方は明確で、自分自身が感染する、リスク、まあSARS死亡率10%で怖かったですけれども、しかしながら今回のCOVID、少なくともダイヤモンドプリンセスの中のカオスの状態よりは、遥かに楽でした。
で、思い出していただきたいのは、COVID、中国で、武漢で流行り出した時に、警鐘鳴らしたドクターが、ソーシャルネットワークを使って「これはやばい」ということを勇気を持って言ったわけです。
昔の中国だったら、ああいうメッセージが外に出るのはぜったい許さなかった筈ですけど、中国は今、BBCのニュースなんかを聞くとOpenness と transparency を大事にしている、というふうにアピールしてます。
それがどこまで正しいのか、僕は知りませんけど、少なくとも透明性があること、情報公開をちゃんとやることが国際的な信用を勝ち得る上で大事なんだ、ってことは理解してる、らしい。
中国は世界の大国になろうとしてますからそこをしっかりやろうとしている。
ところが、日本は、ダイヤモンドプリンセスの中で起きていることは、ぜんぜん情報を出していない。
それから、院内感染が起きているかどうかは、発熱のonset をちゃんと記録して、それからカーブを作っていく、という統計手法、疫カーブ(? エピカーブ? エピデミックカーブの略か?)てのがあるんですけど、そのデータをぜんぜん取ってない、ということを今日、教えてもらいました。
検査をした、PCRの検査をした日をカウントしても、感染の状態は分からないです。
このことも実は厚労省の方にすでに申し上げてたんですけど、何日も前に、全然されていない、と。
ということで、要は院内の感染がどんどん起きても、それにまったく気づかなければ、気づいてもいないわけで、対応すらできていない、で専門家もいない、と。
ぐちゃぐちゃな状態になったままでいるわけです。
で、このことを日本の皆さん、あるいは世界の皆さんが知らぬままになってて、特に外国の皆さんなんかはそうやって…かえって悪いマネジメントでずっとクルーズの中で感染のリスクに耐えなきゃいけなかった、ということですね。
やはりこれ、日本の失敗なわけですけど、それを隠すと、もっと失敗なわけです。
たしかに、拙い対応である、ということがばれるっていうのは、それは恥ずかしいことかもしれないですけど、これを隠蔽すると、もっと恥ずかしいわけです。
やはり、情報公開は大事なんですね。
だれも情報公開しない以上は、ここでやるしかないようです。
ぜひ、この悲惨な現実を知っていただきたいということと、ダイヤモンドプリンセスの中の方々、それからDMATやDPAT(だとおもう?)や、厚労省の方々がですね、あるいは検疫所の方が、もっとちゃんとプロフェッショナルなprotection を受けて、安全に仕事ができるように…彼ら、本当にお気の毒でした。
ということで、まったく役に立てなくて非常に申し訳ないなという思いと、この大きな問題意識を皆さんと共有したくて、この動画をアップさせていただきました。
岩田健太郎でした。
以上、書き起こしオシマイ。
この動画のメッセージが大袈裟で
実はそんなことないぞ、ちゃんとやってるぞ、って公開情報が出るのがいちばん良いのだけど、期待薄かなって思ってます。
※追記の追記。※
一方の当事者からの声明も出た模様。
なお昨日、私の預かり知らぬところで、ある医師が検疫中の船内に立ち入られるという事案がありました。事後に拝見したご本人の動画によると、ご本人の希望によりあちこち頼ったあげくに厚生労働省の者が適当な理由をつけて許したとの由ですが、現場責任者としての私は承知しておりませんでした。
— はしもとがく(橋本岳) (@ga9_h) 2020年2月19日
「ちゃんとやってるぞ」というところについて答えて欲しかったのだけど、手続き上の問題を非常に強く意識しておられるご様子。
倫理観がしっかりしておられると感じます。
願わくば、それをキッチリした領収書を提示して瑣事をぶっ飛ばすことが出来ずにいる自らの上長にも向けられんことを。
コンプラうるさい最近、零細弊社では「上様」領収アウトになってるんで、まずは偉い人に職業倫理を示してほしいな、なんて。
※追記の追記終り※
※追記の追記の追記。※
これもうわかんねえな、っていうかたぶん追いかけるほどズレていく流れっぽいのでこれで打ち止めにしておく。
橋本岳さんにはお目にかかっていません。
— 岩田健太郎 (@georgebest1969) 2020年2月19日
ミステリアス。
これはこれで大事かもしれんが措いといて、知りたいのは外から入れるプロの人たち(DMATの人たちや検疫官の方)がどんどん感染しちゃってるのはさすがに拙いんじゃないのっていうのと、それが「どうしてそうなったの?」ってのが知りたいんすよ。
事前にしっかりした想定で装備も固めてたけどそれだけじゃ足りんかった、COVID-19の感染力は侮れないものがある
(政府当局はちゃんとやったよ派)
なのか、
動画の言う如くムチャクチャずさんなカオスで、これ伝染って当たり前じゃん
(政府当局なにやってんだよ派)
なのか。
前者なら責めるの酷かなと思いつつ、社会生活もっと規制かかる(感染力強いんだから対策の強化も必須だろう)かも、って覚悟するし、後者なら今からでも対策ちゃんとするべきなんじゃないですか、って思うし。
俺にとってはそっちの方がよほど本筋で取り組んでほしいのだが、ままならぬものです。世の中というのは。
こちらなどを参照に自衛を徹底してびくびくしながら部屋の隅でガタガタ震えて命乞いする準備をしておくしかないのかしらん?
厚労省の示した目安。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000596905.pdf
「不要不急」とか自主判断を促されても、出てくる情報がずいぶん微妙な感じ、というのはどうにかならんもんですかね。真面目に。
せめて上記動画の告発に対して
「レッドゾーン」「グリーンゾーン」分けてたわ、カオスじゃない!!
くらいの反論は期待して…は拙かったのだろうか?
かなりもやッとするけど、出来ることは限られるので、体調悪くなったら仕事を投げ捨てるくらいの気構えでいようと思います。
※追記の追記の追記終り※