死ぬ事と見つけたり、っていうけどそれ武士だけの話だから俺には関係ねぇ。
たいへん面白かった。
面白かった、って言っちゃマズイか。
けど色々と知らなかったことが知れて読んでよかった。
しかし1950年代から終末期医療はムダだからコストカット、っていう論調あったのね。
てっきりアメリカンな意識、特に若さへの執着が昂進しまくってきてから
「老いる=悪」
みたいな論調が強くなってきたとばかり思っていたので、そんな早い段階からかよ、と驚いた。長幼の序はどうした日本人。
しかし半世紀経ってもしぶとく残ってるこの
「老いぼれに銭を出すの、なんか本当にもったいねえ」ってメンタリティ。
分からんでもないんだけど、そんな堂々と言っちゃえるものか?
ってのが引っかかる。
ごく一部の派熱河絵理はねっかえりが言ってるんではなく、連綿と続いてきたってことだから常に一定の支持があった論調ってことなんだよな。
そこの根拠となる思想が知りたい。
いい悪いは措くとして。
続き物の記事になるようなので、なんでそういう風に考えるように至ったか、ってのも触れると期待して待ちたい。
※追記。
たいへん参考になる。
良質なポジショントークとはこういうもんだと思う。
特に着目すべきはインタビュー第2弾。
このインタビューで医療費の高騰原因として高額の新薬を取り上げ、一方で薬価引き下げの方策もある、ということを示しているんだけども、これにけっこうなブコメが噛みついてるのね。
2016年だけの例外事例、だと。
これだけでもう、ほとんど二木氏の勝ちだと思う。
だって、争いのステージを変換することに成功してるわけだから。
終末期医療を、医療費高騰のガンとして槍玉にあげる言説を展開するブクマカたちを、高額新薬の問題点というイシューに引きずり込んでる。
この段階で
「医療を圧迫してるのは新薬と高度化する医療技術」
という前提には疑義が挟まれてないわけ。
上手いな、と思いました。
薬価引き下げに関する言説では穴があるってか牽強付会なにおいがしなくもないけど、そこに突っ込まれることで前提を切り替えさせることに成功している。
実際の額のデカさでいえば、新薬と高度医療の寄与度が圧倒的なわけだし、一方で総体としての医療費削減の必要性については同意してるから、
「終末期医療を狙い撃ちにする言説」の説得力を削ぐことに成功している。
内容もかなり示唆に富んでいて面白かったけども、
自身の携わる医療だけが割を食うという潮流に冷水を浴びせかける、という意味でも、優れたインタビューだと思った次第。