ちょっと前の記事でブコメもらって気になってた。
「国家が死刑やるってどうなんだろうね」って話。
そいでもって途中まで読んでちょっと投げてた奴を読む。
もっとちゃんと感想書いた方がいいと思うんだけども、取り急ぎ読了後の雑感はまとめておきたい。
- 物語のかたちで認識しすぎ問題
- なんか読みにくいな、って思ったのはたぶん、そういう形に回収されない配慮
- 冤罪の穴あちこちに空きすぎ問題
- 冤罪産む奴は最初からそういう邪悪ってわけではない
- むしろ有能。紅林刑事すらも。
- これは死刑アウトですわ、真面目に
- ギリ許されるのは終身刑かな、やはり
- それ以前に改善されなければならない問題ごまんとあるけどな
- おもに戦前の人の処罰感情の具合はちょっと、もといかなり今とは違う。
- 精神鑑定、誤診が起きても誰も批判されない地獄
- 1次資料当たらないで孫引きしすぎだろみんな
まー色々ありました。
ありのままに理解する能力は人間には備わってないし、ものごとをなんでも関連づけて処理しちまうのは進化の必然だよ、けどそれを克服しなくちゃいけないよ、という。
今んところいちばんビビったのはアレだね。
ウソ自白を補強する形で提出された精神鑑定の診断書がさ、
同業者から問題視されていないというのが恐怖だと思った。
医者が診断ミスして何人かぶっ殺してもそれを批判せずシマウチで
「ええんやで」してしまってるってことだろこれ。
アップデート期待できねぇ。
そんなもんに人の生き死に預けちゃダメっしょ。犯罪者とはいえ。
足利事件の分でも誤診があったにもかかわらず学会はスルー。
精神医学って科学じゃないから批評精神ないんだね、まで皮肉られる始末。
そんなもんで人ころころしたら、後味わるいわ。
とりあえず、読む前までは
明々白々の犯行であるならば、それに対する刑罰として極刑やむなしって思ってたけど、ダメだわ。
明々白々、ってのは間違いなくあるとは思うんだけども、それを現状そのまま受け止めてそれに相応しいように処罰するという理路があまりに脆弱すぎる。
どうしたって物語の形に回収して、それですっきりしてしまう。
冤罪の可能性は想像以上にあちこちに転がってる。それを確実に潰せないかぎり、極刑というのは回復不能なダメージすぎる。
被害者の処罰感情、とかの物語に回収されたり後乗りしない視点をちゃんと確保出来ているか、ってのもはなはだ心許ない。
被害者のダメージはそれはそれで絶対回復されないといけないけども、同時に冤罪も潰さなくちゃいけない。
明々白々って思ってても、被害者側の物語から見て、見落としてしまう証拠・掬い上げられない事実というのは現れるはず。そうした偏りを完全に払拭できる方法が(いまのところ)ない以上、たとえ明白で(あるように見えて)も、二度と社会に出さないという形で妥協を図るよりほかないんじゃないのかな、と。
誰であれ、人が人を殺すってのはあんまり気分よろしくないよね。
いや吾はキライな奴は割とアタマのなかで「死ねばいいのに」とかやるけど。
現実に手を汚す人が居るって重さを考えると、消極的にでも「死刑OK」ってのは言えなくなっちゃったなぁ、ってのが読み終わってからの感想。
文章はいろいろとっ散らかってるし、とにかく登場人物が多いし、その登場人物が複雑だしでけっこう読みにくいですが。
なかなかおススメです。