ついに選挙戦が始まってしまった。
多くを望むつもりはないけれども、違和感を抑えきれない。
誰がなってもいい、とまでは思わないんだけどもうちょっと選挙後のノーサイド風味な雰囲気って醸し出せないものなのかなぁ、と思う。
政策がバッティングして実弾飛び交う選挙戦でぶん殴りあって椅子ゲットするまではいいんですよ。実弾もPCにドリル使えばなかったことにできるみたいだしまあ多少はね?
けど、殴り落とした後に死体蹴りなジェノサイド感があるのはどうしたもんかなって。
以前読んだ本じゃないけど、
二個の者が same space ヲ occupy スル訳には行かぬ。
甲が乙を追い払うか、乙が甲をはき除けるかのみじゃ。
っていう西洋由来の暴力的な感じをオブラートに包みましょうね、ってのが西洋近代の代表制度って奴なわけで、そうなると追い払ったり、はき除けたりした相手の言い分をも包含した格好で、そいつが行使し得たかもしれない権利や、得られたかもしれない利益に配慮せんとアカンよ、という話になるのだという。
「勝者が敗者を代理し、代行する」と仮構することで
勝者の側は自分がその場所を占有しているのは敗者をぶん殴って押しのけたからだ
っていう陰惨なリアルを忘れる事が出来るし、
敗者の側は自己の権益を代理・代行してもらうことで殴り負けして押し退けられた
っていう悲惨なリアルを忘れる事が出来るというフィクションが完成するのだと。
そうやって本質的に殴り殴られる暴力性を包み隠す事に成功したのが現在に繋がる近代の代議制民主主義らしいのですが・・・今それ実践されてるのかなぁ、という疑問が沸きます。
どっちも支持者の言い分は代表してやるが、それで勝ったからといって負けた側の言い分を代表してやる義理はねえぜ、って言わんばかりに追い込みかけますよね?
野蛮さ丸出しじゃないですか。
ド田舎のショボイ選挙ではまあ珍しくない。
実家のある田舎で実際にあった事ですけどね、
土建会社A と 土建会社B がそれぞれ町長候補を擁立して、Aの推した候補が当選。
その後どうしたか?
町発注の公共事業の競争入札説明会から土建会社B を排除するという挙に出ました。
いわく
「敵を応援してたのになんで入札しようとか思ってんの?」
だそうな。
さすがにあんまりにも短絡過ぎるのでこの言い分は通らなかったですけど、こんなメンタリティで政治やられちゃ困るんですよ、国政の場合。
いやまあド田舎でも困りますけど。
土建事業の過半を町発注の事業が占めていて、そこから〆出されたら普通に死ぬよな、っていう想像力が働かない、想像力が働いたとしても「それが敵を応援した報いや」っていう風に納得できてしまうくらいの野蛮さが通用するのは辛い。
もっとも、競争入札のフリくらいはしたというのはまだマシだったのかな・・・?
選挙後、発注する事業を随意契約にして負けた側の業者を徹底して干す、みたいな仕打ちは今世紀に入ってもチラホラあるみたいだし。
国政の場合。
まだ色々と制度的に歯止めがあって一気に負け側をブチ転がすみたいな事にはならないみたいですけど、政治家の皆さんが「俺は敵を代表する必要はない」みたいに考えて支持者のみ見て語ってるのはどうしたもんかな、と本気で思います。
勝ってからも支持者だけを見て語るもんだから、言葉が通じ合わないというね。
今の状況だと、与野党どういう勢力が勝っても敵対する側に対してはどのような仕打ちをしてもOKみたいな構えで政治に取り掛かりそうなので本当にイヤ。
殴り倒した相手は隷属させればそれでええんや、みたいな野蛮な構えの人は選びたくない。出来れば、相手の言う事も多少は聞く(けど大事な部分は曲げないよ)くらいには柔軟性のある人を選びたい。
うちの選挙区にそんな人いるのかな・・・?
ちょっと憂鬱です。