afurikamaimaiのブログ

テキスト打ちのリハビリのはずだったが、今は路頭に迷ってる

世に盗人の種は尽きまじ。

昨日は予約投稿がうまく行ったので、今日も調子に乗って続ける。
ちょうどいいネタが下りてきたし、過去の読書メモを膨らましてごまかす。

jp.techcrunch.com

このニュースと

www3.nhk.or.jp

このニュース。


ムナクソ悪。

んで、思い出したのがこれ。

 

 

VRは脳をどう変えるか? 仮想現実の心理学

VRは脳をどう変えるか? 仮想現実の心理学

 

 

面白かったね。
狙ったのかどうか知らんけど、日本刊行のタイミングと、この本の導入部がすげえドンピシャだった。
ケンブリッジ・アナリティカ事件が大々的に報じられた時に、事件の共犯であるfacebookが次の狩場に選んだVRベンチャーの雄、オキュラスを巨額買収!! って論じるとか、タイミング良すぎだろう。

 

本書の意図するところは

VRは諸刃の剣になるよ、けどきっといい世界を開くんじゃないかな

みたいな見通しを語ろうとしてるところで、キングオブ邪悪のfuckbookfacebookの巨悪の一端が垣間見えて、その邪悪が次に仕掛けるのがVR、って言われたら

「じゃあコイツラ悪用するに決まってる」って偏見がばっちりハマっちゃうよね、と。

その辺に関して言及した書評はいくつも見たから書かなくていいか、って思ったけど、ますますディストピアに近くなったな、と上記ニュースを見て感じたのでメモっておく。


CA事件でfuckは退潮するかと思ってたけどぜんぜん衰えないってことは、この邪悪がVRをも席巻する可能性がめちゃくちゃ高いってことで、どの辺がヤバいのかを私的に整理しておく。

 

VRのヤバさはその没入度。
これまでのメディアと全く異なる。
端的な話として学習効果が正の側面としてクローズアップされてる。
共感性の圧倒的な強化とか。*1
学習効果の異常な高さ、VR≒経験であることからくるスキル習得の達成率の高さとか。

ネガティブな側面としてはその没入度の強さゆえの課題、犯罪・反社行為の性向を高めてしまう危険性に言及されてる。
この手の論者にしては珍しく「メディアの暴力性に与える影響」をけして否定してないのが印象的。
ゼロイチで「メディア無罪」or「メディア有罪」に傾く論者が多い中で、バランス取れてるよなと。

 

けれど、本当のVRのヤバさは、VRで流通するコンテンツではなく、VRのインフラそのもの(を支える技術≒企業群)にある。
現状のVRはいろいろ問題があって、ラッキングレンダリング・ディスプレイの3つに集約できる。
うちディスプレイはまだまだ課題がある。

特に焦点距離の調整をユーザー自在、とは出来ないことからどうしても眼精疲労は起こる。これは専門家の間でも未だに抜本的な解決策が見つかってない。

これは、身体の活動が伴うVR体験にはどうしても不可避のトラブル

VRでは広い空間を体験しているのに、リアル空間は狭いので、壁や家具にぶつかったりする」

のと並んで大きな課題。

 

一方で、トラッキングレンダリングについては段々に技術や機材が進歩して、プロユースにも耐えられるようになってきた。

 

んで、怖いのがこのトラッキングレンダリングを支える技術。
没入度をより深めるためのフィードバックを得るのには、ありとあらゆる形でVRを装着している人間の挙動を細大漏らさず監視・収集する必要がある。
そこで得られたデータを、なんかモノスゲェ感じのコンピュータとかプログラムとか、デープラーニングとか、そんな感じの奴にぶち込んで行くと、人間ちゃんが行動を起こすのに「先駆けて」VRは反応を提供できる、ということになるらしい。

今のVRがホモサピが
「何か見よう」と思って顔を動かすのを感知して、それに合わせて(追従して)あらたな光景を再構築する

のに対して、この進化したVRでは、ホモサピが
「何かを見よう」ってその瞬間、本人も意識してない身体の挙動なりに現れた動作を拾って、顔を動かすのに先駆けて光景を再構築する
らしい。

 

※追記。

読み返してみたら、ちょっと違った。

おもに表情の追従性を上げる技術、という話やった。

VRを使用しているユーザーの顔面を50くらいのエリアに分けて、そのエリアでの表情筋のパターンを収集。

そしてそのパターンの組み合わせで、軽い負荷で「本人と全く同じ」表情のつけ方を再現出来るようになるという話だった。

VR上に再現した仮想のアバターがそれっぽく表情を作るのではなく、細かい癖まで全く本人と同一のモノを再現できる、という。

著者はデモやったときに、目の前に会話している相手(本人)が居るのに、話し込んでるうちに後ろのモニターに映ってる相手(アバター)に正対してしまってた、そしてそれに違和感を全く覚えなかった、ってエピソードが語られてた。

 

もういっぺんちゃんと読まないとアカンね。

 

 

こうすると、今までは動作を起こしたのに合わせて光景や空間を再構築してたから、処理速度がめっちゃ上がったけどそれでも遅延があったのに対して、完全に遅延のないVR空間を構築できるのだという。

 

ええことやんけ、と思う。

けどこれが拙いのだ。

 

訳者もあとがきで触れているし、著者も触れているが、この「ありとあらゆる人間の挙動」を把握することの危険が大きいのだという。

 

没入型VRほど人間の動作を正確に、高頻度で、こっそりと計測できる道具は存在したことがない。しかもそうして集めたデータは極めて含蓄に富み、ユーザー個人について多くのことを物語る。口に出す言葉と違い、非言語行動は無意識に行われる。その人の精神状態、感情、自己認識をダイレクトに映し出す鏡なのだ。

 

より心地よいVR体験のためにフィードバックをVR提供企業へと返すこと。
それが本人が予期しない形で企業に利用される可能性は無きにしも非ず、っていうかケンブリッジ・アナリティカ事件であっさりバレたように、吐き気を催すほどの邪悪な意図でもって使われる可能性は相当程度に高い。

 

しかもそれは今までの「個人情報利用」などよりもはるかに強く、個人の行動に影響を及ぼす。
VR学習では、VRを装着した個人の挙動から集中度を算定し、それぞれの嗜好に応じた「最適の教師」をVR空間に再現してより適切な教育を提供することを想定しているが、これを悪用することもまた、容易い。

 

それぞれの嗜好に応じた宣伝が今よりもずっと洗練されて提供できるのである。
本人も自覚していない、無意識の欲望がVRを提供する企業によって把握され、それを利用して宣伝がぶち込まれる。
没入度の高いVR体験でそんなことをされたら?
本人は「自身の欲望」を自覚してないのだから、その無意識に向けて宣伝が働きかけた結果、選ばされたものであっても
「オレが主体的に選んだもんだ」という固い信念を持つにいたる。
ものすごくチョロいかんじに、その昔派手にゲハ論争やってた信者をつくることが、技術的には出来るようになってしまうわけだ。怖いね。

 

しかし一方で、
現在の途上のVR教育でも、一般に普及してる最先端のネット&タブレット端末などの遠隔動画教育より25%も高い効果を発揮できるという。
5回の動画学習で得られるものが、4回のVR学習で済んでしまうわけだね。
この利便性・効率の高さと、上記のような危険性、天秤にかけて

 

VRこええから近づかんとこ」

 

ってなるホモサピはそう多くはないと思う。
ライバルたちが自分よりもはるかに効率的な学習で進歩してるのに、自分はVRに情報を渡すのが嫌でVRじゃない学習をする、という選択をする子は多くはないだろう。
ましてや、VR企業群に奪われるのは「自分で意識してない」情報なのである。その重さをしっかりと認識しろっていう方が難しい。

 

著者はVRはより良い世界を拓く、っていうビジョンを持ってるらしいけど、俺はすごい懐疑的な気分になった。
冒頭のf●c●bookのニュースのせいもある。
既に邪悪な実績を上げている企業でも、それを止められない、利便性に流れるのがホモサピっていうリアルを考えれば、より悪い社会になりこそすれ、より良い社会ってのはまあねえんじゃないかな、と。


利便性はずば抜けて上がるけど、一方で
「操られているにも拘らず、すべての選択を主体的にやってると思い込んでるバカの群れ」
が犇めく社会になりそう。もろちん俺もその一人になる。

 

やだやだ。

同じディストピアならオーバーロードが降臨してきて、ろくでもない感じになる方がよかったよ。

 

 

異世界おじさん 1 (MFC)

異世界おじさん 1 (MFC)

 

 ※平和なゲハ。

*1:個人的には、これ自体がものすごくやべえ、って思うけどね。共感をベースに動く連中はすぐにカルト化するので。